漢方(東洋医学)の視点から考える「心と身体の声を聞こう」シリーズ Vol.02
東洋医学の叡智「子午流注」を知って、体のリズムを意識する
皆様、こんにちは。京都で季節の養生と自然ぐすりデイリーケアスクール&サロン Camomille Matricaire<カモミーユマトリケール>を主宰しているベルヴィストのMikakoです。本日は「心と身体の声を聞こう」シリーズの2回目です。
前回のコラムでは心と身体の声を聞くには「子午流注」を知るといいですよとお話ししました。
「子午流注」とは?
時間医学ともいわれており、体の臓腑や気血水の働きの1日24時間のリズムを表したもので、そのリズムに合わせて生活することが大切だと考えます。
現代では必ずしもこの通りに実践するのは難しいところもありますが、「子午流注=時間医学」を参考にして体のリズムを意識しながら健やかに過ごすヒントを見出せればと思います。
ご自身の何気なくされている生活習慣を見直すきっかけになり、未病を防ぐセルフケアができるようになれば嬉しいですよね。
それでは、さっそく順番に紹介していこうと思いますが、1回ではお伝えしきれないので、2回に分けてお伝えしていきます。
1回目は、今養生に必要なのは秋の「肺」です。
ですので、この「肺」にかかわる臓器から時間順に紹介していきたいと思います。
「子午流注」時間帯ごとに細かくチェックしてみよう
~夜23時から午前1時・子(ね)の刻・胆の時間~
「胆(胆のう)」は胆汁をためておく場所です。
この時間は胆汁の分泌が盛んになるとされています。
この時間に寝てないと胆汁の代謝が行われず、顔色が悪くなり目の下にクマができ、目の下のたるみが黒くなったりします。
また、この時間は新陳代謝が活発になるとされているので、ニキビや皮膚疾患でお悩みの方は、この時間には寝ているようにしましょう。
最近の研究でも22時~2時は、「成長ホルモンが分泌される」「脂肪の代謝⇔合成」の時間とされていますのでしっかり睡眠をとるのが大切です。
そして、「胆は決断を主る」とされます。この時間にしっかり睡眠をとっておかないと胆に負担がかかり、翌日の頭の働きが悪く、思考力、特に決断力が弱くなり、不安になり肝(きも)が小さくなります。
そのほかにも、胆石、胆嚢炎など胆の病気が多くなるとも考えられています。
~午前1時から3時・丑(うし)の刻・肝の時間~
肝はこの時間帯で蔵血(血液の貯蔵、体の各部への血液量を調整する作用)、解毒(血液の浄化)を行います。
この時間に熟睡できていないと、汚れた血液が巡りやすくなるためだるさ、冷え、イライラ、ストレス、生理不調などの症状がおこりやすくなり、老廃物が溜まり、血液の流れも悪くなり、肩こりや頭痛などが出やすくなります。そして、血液の浄化ができなくなると、お肌のツヤ、くすみ、シミ、そばかす、ニキビ、クマ、しわの原因にもなります。
この時間帯は、お肌のゴールデンタイムとも言われますが、お肌のトラブルが起こるのを考えると納得できますよね。
そして、この時間帯は、成長ホルモンとメラトニンの分泌が盛んになるとされています。
メラトニンは部屋を暗くすることで脳の中にある松果体という場所から分泌され始めます。
成長ホルモンの分泌は、メラトニンによっても促されると言われていますので、寝室を暗くして深い睡眠ができるよう好きな香りのエッセンシャルオイル(精油)などを使用して、質の良い睡眠を心掛けましょう。そして、「肝」と「胆」は表裏の関係を築いていて、胆は肝のサポート役ですので、子の刻と丑の刻はセットで考えましょう。
~午前3時から5時・寅(とら)の刻・肺の時間~
この時間帯で徐々に浅い眠りになっていき、身体が目覚めていきます。
1日のスタートは、この肺が活発になる時間から始まるといわれています。
目覚めに向けて、肝の時間に浄化された血液を呼吸(酸素)とともに全身に送り込みます。
肺は皮膚や鼻を管轄しています。
肺の時間帯は、副交感神経が優位なので気道が狭くなり、肺が弱い人や高齢者は明け方に喘息の発作が出たり、咳が出たりと呼吸が苦しくなったりしてしまいます。
そして、皮膚呼吸にかかわる痒みやアトピー性皮膚炎などを発症します。
モーニングアタックと呼ばれるアレルギー症状(鼻水)が起こるのもこの時間帯です。
この時間に眠ることで、肌のバリア機能の強化、弾力アップにもつながります。
季節の養生では肺は秋です。
秋は、乾燥する季節で、風邪などのウイルスも活発になってきます。
肺の弱い人は、肌の乾燥やアレルギー症状もひどくなる可能性が出てきますので、
常に肺の養生を心掛けるようにしましょう。
~午前5時から7時・卯(う)の刻・大腸の時間~
「肺と大腸は表裏の関係」とされます。
肺から送られてきたエネルギーで大腸が活発に動き出します。
水分の吸収や排毒作用も活発になるので、この時間にしっかりと起きて排便するリズムをつけると日常の便通も整って、朝からの1日も気持ちよくスタートできますよ。
腸の蠕動(ぜんどう)運動は、ストレスにとても影響を受けやすく、ストレスとも関係の深い「肝の時間」の睡眠も関係してきます。
そして、朝の目覚ましには、アラームなどで急かされることなく、できるだけ心地良いメロディーや、自然に目が覚めて、行動に余裕をもってゆったりと過ごせるように心がけましょう。
「腸はお肌の鏡」という言葉をよく聞くと思います。
肺と大腸は表裏の関係と言いましたが、肺は皮膚の潤いを保つ働きをしますので、大腸に負担がかかると肺にも負担がかかるということです。
夜のうちに回収した老廃物を排出できず残すことは、皮膚トラブルにもつながります。
この大腸の時間にしっかり排便する習慣をつけるために、朝起きたらコップ一杯の常温の水(レモン入りやローズウォーター入りがおすすめ)、冬は暖かいお湯を飲むとよいでしょう。
ただ、胃腸が弱い人は一口程度にしておきましょう。
ここまでが、秋の養生の肺にかかわる臓器の時間割です。
いかかでしたか?
時間と臓器の関係、納得いくことや、思い当たることも多かったのではないでしょうか?
時間の過ごし方の見直すきっかけにしていただいて、
早速、ご自身の心と身体の声を聞いてみてくださいね。
Mikako先生からのミニ知識・プチ養生
秋の臓器である「肺」は、悲しみの臓器と呼ばれ、気持ちが沈んだり、センチメンタルになったりすることが増えます。
そんな状況になったときは、「呼吸」を整える意識をつけてください。
1日のスタートが「肺の時間」であるように、呼吸はとても大事です。
考えすぎたりしているときは、自分で気づいてないと思いますが、呼吸が止まりやすく、浅い呼吸になったりしています。
パソコンや携帯電話を使用した後などは、呼吸を整えるようにしましょう。
「呼吸」とは「息」、「息」という漢字は、「自」と「心」。
意識してしっかりと呼吸をすることは、自分の心をコントロールできることにつながります。
朝起きたら、呼吸を整える時間を作りスタートさせることが、秋の肺の養生の第一歩になります。
心の声を聞くことにもつながりますね。
次回は、残りの臓器の時間割についてお話しさせていただきますので、お楽しみに!
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