
若者の大腸がんが世界で急増している──腸を守る食卓と暮らしの選択
皆さんこんにちは。ベルビオマルシェです。
少し前、気になるニュースが目に留まりました。「50歳未満の若者における大腸がんの罹患率が、世界的に増加している」という報告です。
オーストラリアの研究チームが発表したデータによると、50歳以上の世代では大腸がんの発症率が緩やかに低下しているのに対し、若年層だけが逆行するように増えている。
日本でも同様の傾向が見られはじめています。
「大腸がんは中高年の病気」というイメージはもはや過去のもの。
しかも増えているのは、一見健康的に見える若者にも起きているという点が、研究者たちを困惑させています。肥満でもなく、運動不足でもなく、なぜ?
今回のコラムでは、この「逆転現象」の背景にある腸内環境の話と、日常の食卓と暮らしでできる選択について、植物薬理の視点も交えながらお伝えします。
怖がるためではなく、「知って、選べる」ようになるために。
なぜ「若者だけ」増えているのか──腸内マイクロバイオームという視点
従来の大腸がんリスク因子(肥満・運動不足・高脂肪食・高齢)では、健康的な生活を送っている若者の増加を説明しきれません。そこで近年注目されているのが、腸内マイクロバイオーム(腸内細菌叢)の乱れ、すなわちディスバイオシス(dysbiosis)です。
腸内には数百兆個もの細菌が共生しており、そのバランスが健康に深く関わっています。
中でも重要なのが、食物繊維を発酵させて短鎖脂肪酸(SCFA)を産生する「酪酸産生菌」の存在です。
酪酸(ブチレート)は、腸粘膜の細胞のエネルギー源となり、腸のバリア機能を維持する重要な物質です。
この酪酸産生菌が減少すると、以下のような連鎖反応が起きます。
酪酸産生菌の減少 → 腸粘膜バリアの低下 → 有害物質が腸壁を通過しやすくなる(リーキーガット) → 慢性的な低グレード炎症 → 細胞への酸化ストレス蓄積 → がんリスクの上昇
この連鎖は、数年・数十年単位でゆっくりと進行します。だからこそ、「今は症状がない」という状態であっても、腸内環境を整える選択を早い段階から重ねることに意味があると、多くの研究者が指摘しています。

知らないうちに摂っている──抗生物質の「隠れた経路」
酪酸産生菌を含む有益な腸内細菌を減らす要因のひとつとして、抗生物質の影響が挙げられます。医師に処方されるもの以外にも、私たちは日常的に3つの経路から抗生物質にさらされている可能性があります。
医療ルート:幼少期の抗生物質投与
腸内細菌叢の基盤が形成される乳幼児期に受けた抗生物質投与は、成長後の腸内環境に長期的な影響を及ぼすという研究が蓄積されています。感染症治療や予防的投与として広く行われてきた慣行が、腸内の多様性に影響している可能性があります。
食肉・畜産ルート:工場畜産の抗菌剤
工場型畜産では、感染予防や成長促進のために抗菌剤が使用されることがあります。その残留成分が食肉を通じて体内に入り、腸内細菌叢に影響を与えるという指摘は、食の安全を考える上で重要な視点です。
環境ルート:農業用抗菌剤・水道水への混入
農業分野での抗菌剤使用や、下水処理後も微量が残存する水道水など、環境中の抗菌物質への曝露も、腸内細菌叢に少なからず影響を与えると考えられています。「知らないうちに摂取している」という視点は、食の選択を見直すひとつのきっかけになるかもしれません。
腸内環境を育てる食卓の選択
では、日常の食卓で何を選べばよいのでしょうか。完璧な食生活でなくてよいのです。「何を選ぶか」の積み重ねが、腸内の多様性を少しずつ育てていきます。
できれば距離を置きたいもの
- 超加工食品:添加物・乳化剤・保存料が腸内細菌叢の多様性を損なう可能性
- 精製穀物:食物繊維の除去によって腸内細菌のエサが減少する
- 工場型畜産の肉:前述の抗菌剤残留の観点から
腸が喜ぶものを積極的に
- 食物繊維が豊富な食材:ゴボウ・チコリ・アスパラガス・玉ねぎなどプレバイオティクス食品。腸内の酪酸産生菌のエサになります
- 発酵食品:味噌・ぬか漬け・ヨーグルト・甘酒。生きた菌を食卓に取り込む日本の食文化は、腸活の観点から非常に理にかなっています
- 全粒穀物:精白していない穀物は食物繊維と共に食べることで腸内環境をサポート
- ポリフェノール豊富な食材:腸内の有益菌を選択的に増やす可能性が研究されています
ポリフェノールの供給源として注目されているのが、カシス(クロスグリ)です。アントシアニンをはじめとした複数のポリフェノールを含み、腸内細菌叢の多様性を支えるプレバイオティクス的な働きが研究されています。BBMでもカシスパウダーをお取り扱いしています。ヨーグルトやスムージーにひとさじ加えるだけで、手軽にポリフェノールを取り入れることができます。

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有機JAS認定 50g
アントシアニンを豊富に含むカシス(クロスグリ)を粉末に。ヨーグルト・スムージー・オートミールなどに混ぜるだけ。腸内細菌のエサとなるポリフェノールを手軽に摂れる一品です。
肉を選ぶなら、有機・グラスフェッド・国産小規模農家のものを選ぶという現実的な選択肢もあります。ベジタリアンである必要はなく、「何を食べるか」より「どこから来た何かを食べるか」という意識の変化が、腸内環境と食の生態系の両方に影響します。
「殺菌しすぎない」という哲学──腸と皮膚の生態系を守る
コロナ禍を経て、私たちの日常にアルコール除菌が深く浸透しました。衛生管理の意義は否定しません。
ただ、「菌を全排除する」という方向性が、かえって腸内と皮膚の微生物生態系を損なっている可能性があるという議論が、免疫学・生態学の分野で起きています。
衛生仮説、さらに発展した生物多様性仮説は、都市化・過度な清潔さが免疫系の適切な訓練を妨げ、腸内細菌の多様性を低下させるという考え方です。
その証拠として注目された研究があります。フィンランドで行われた実験では、保育園の庭を人工芝やアスファルトから森の土・砂・枯れ葉などの自然素材に変えただけで、わずか数週間のうちに子どもたちの腸内細菌叢の多様性が向上し、免疫指標にも改善が見られたと報告されています。
自然の土に触れること、森林浴、ガーデニング、素足で歩くこと。環境中の微生物との接触が、腸内の多様性を豊かにするひとつの経路になっているのかもしれません。

植物薬理と精油が提唱する「共生のケア」
ベルビオマルシェが植物薬理応用学の視点から大切にしているのが、「有害な菌だけに選択的に働き、共生する菌の多様性を守る」というケアの哲学です。
多くの精油に含まれる抗菌成分(テルペン類・フェノール類など)は、アルコール消毒のように腸内・皮膚上のすべての細菌を無差別に除去するのではなく、特定の病原菌に対して選択的に作用する性質を持つと言われています。つまり、皮膚や腸を「無菌の空間にする」のではなく、「生態系として守る」アプローチです。
腸も皮膚も、無数の微生物と共存するエコシステムです。そのバランスを守ることが、現代人に問われているケアの視点ではないでしょうか。
腸を整えることは、全身への投資
腸内環境を整えることは、大腸だけの話ではありません。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、セロトニンの約90%が腸で産生されることが知られています。腸が乱れると、肌・免疫・睡眠・メンタルのすべてに影響が及ぶ。
逆に言えば、腸という土台を整えることは、あらゆるウェルネスへの投資です。
今日の食卓の選択。手洗いと除菌のバランス。週末に土や草に触れる時間。それら一つひとつは、小さな選択に見えて、腸内の生態系への問いかけでもあります。
ベルビオマルシェは「自然との共生」という世界観のもと、植物の力を借りたホリスティックなウェルネスを提案しています。知識が選択を生み、選択が身体に宿る。そんな積み重ねを、一緒に育てていけたら嬉しいです。
あなたの食卓に、この一週間でひとつだけ変えてみるとしたら、何を選びますか?
※ 本コラムは情報提供・教育目的で作成されています。特定の疾患の診断・治療を目的とするものではありません。健康に関するご不安は医療専門家にご相談ください。
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肌を育てる美容とは何か
──皮膚の常在菌と、化粧品の選択
腸に無数の菌が生きているように、皮膚にも1平方センチあたり数百万の菌が共存しています。この「皮膚マイクロバイオーム」こそが、本来の肌を守る最前線です。
以前、いわゆるデパコスのスキンケアセットを丁寧に使い続けていたにもかかわらず、肌がどんどん乾燥してパリパリになってしまった、と相談に来られた方がいました。「高くて、良いものを使っているはずなのに、なぜ?」──その答えは、コスメに含まれる防腐剤や安定剤と、皮膚の常在菌の関係にありました。
なぜベルビオがオーガニックコスメや、Green Medicineのセルフメイドスキンケアをお伝えするのか。次回のコラムでは、肌荒れが単なる「顔の問題」ではなく、全身の健康に繋がっている可能性について、「あなたの体は9割が細菌」の知見もふまえながらお伝えします。
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